ポップガードでボーカルの録音環境を整えましょう。今回は、ボーカル録音における心強い味方である「ポップガード」について解説します。
プロのアーティストがレコーディングを行う現場では必ずと言っていいほど目にするポップガード。
価格は手頃なものから高価なものまで様々ですが、実際に使ってみて多くの発見がありましたので、その内容をシェアします。
今回紹介するポップガード→NEEWER マイクポップフィルター
ポップガードは録音環境を整えるための必須アイテム

ポップガードとは、マイクと口の間に設置するメッシュ状のアイテムのことです。
レコーディング風景などでよく見かけるこのアイテムは、単なる見た目のために付けているわけではありません。
装着することで明確なメリットがあるため、プロの現場でも採用されています。自宅で録音環境を整えるのであれば、ぜひ購入しておきたいアイテムの一つです。
歌を歌う方はもちろん、ナレーション収録やライブ配信を行う方にも非常におすすめです。ポップガードひとつで録音環境が劇的に変わる様子を、ぜひ体感してみてください。
ポップガードの種類と素材による違い
ポップガードには大きくわけて「布製(メッシュ)」と「金属製(メタル)」の2種類があります。どちらを選ぶべきか迷う方も多いため、それぞれの特徴を整理しておきましょう。
布製(メッシュタイプ)ポップガードの特徴

今回紹介しているNEEWER(ニューワー)の製品は、この布製タイプに該当します。
ストッキングのような薄い素材が2重に張られており、吐き出される息を止める力が非常に強いのが大きな特徴です。
布製のメリットは、何よりも価格が安く、これから録音を始める初心者の方でも手に入れやすい点にあります。ノイズを遮断する能力も極めて高く、確実な効果を実感できます。
一方でデメリットとしては、高音域がわずかに削られてしまい、録音された音が少し「丸く」なる傾向がある点があげられます。
また、素材が布であるため汚れが蓄積しやすく、金属製のように水洗いができないため、衛生面については少し注意が必要です。
金属製(メタルタイプ)ポップガードの特徴

金属製(メタルタイプ)は、薄い金属の板に小さな穴がいくつも開けられているタイプです。
金属製のメリットは、音の通りが非常に良く、歌声の高音域がクリアなままマイクに届く点にあります。
また、使用後に水洗いができるため、常に清潔な状態を保ちながら使い続けられるのも嬉しいポイントです。
一方で、布製に比べると価格が少し高めになるというデメリットがあります。
また、セッティングがうまくいっていないと、金属の縁に息が当たって風切り音のようなノイズが発生してしまうこともあるので注意が必要です。
もし、あなたが手にする初めての一本であれば、まずは安価で防音・遮音の効果がわかりやすい布製から始めるのが無難と言えるでしょう。
\初心者におすすめの布製タイプ/
なぜポップガードで音が変わるのか

ポップガードの役割は、単に「息を止める」だけではありません。音響的な視点から、ポップガードの重要性をさらに深く掘り下げてみましょう。
物理的な障壁としての役割
歌を歌うとき、とくに「ぱ、ぴ、ぷ、ぺ、ぽ」といった破裂音を出す際には、瞬間的に強い空気の塊が吐き出されます。
強い空気の塊がマイクの振動板(ダイアフラム)に直接当たると、過大な電気信号が発生し、録音データが音割れしたり、不快な低音ノイズになったりします。
ポップガードは、空気の衝撃を分散させる「防波堤」のような役割を果たしてくれます。
マイクの保護とメンテナンス
コンデンサーマイクの内部は、非常に薄い膜でできています。
ここに唾液や湿気が付着すると、カビの原因になったり、電気的なショートを引き起こしてノイズが発生したりします。
ポップガードは、マイクの「健康状態」を長く保つためのフィルターでもあるのです。
効果を最大化するプロのセッティング術

ただマイクの前に置くだけでは、ポップガードの性能を100%引き出すことはできません。私が実践しているおすすめのポップガードの設置方法を紹介します。
マイクとの距離は「こぶし一つ分」
ポップガードとマイクの距離は、約5cmから10cm程度(こぶし一つ分)空けるのが理想的です。
あまりに密着させすぎると、ガードを通り抜けた息がそのままマイクに届いてしまい、効果が薄れてしまいます。逆に離しすぎると、今度は声の芯がぼやけてしまいます。
角度をわずかに傾ける
ポップガードをマイクに対して真っ直ぐではなく、ほんの少し斜めに傾けて設置してみてください。
角度をわずかに傾けることで、吐き出された強い息がガードの表面で上下左右に逃げやすくなり、より効果的にノイズを回避できます。
アームの固定を確実にする
多くのポップガードは「グースネック」と呼ばれる自由に曲がるアームを採用しています。
アームが作業中に自重で垂れ下がってくると、歌に集中できなくなります。スタンドの支柱にしっかりと固定し、一度位置を決めたら動かないように調整するのがコツです。
初心者必見!ポップガードの「よくある質問」

これから初めてポップガードを導入しようと考えているときに、本当に効果があるのか、また自分が必要としているマイクに合うのかといった疑問が出てきます。
私の周囲でも聞かれることのある代表的な質問についてお答えします。
ダイナミックマイクにポップガードは必要?
ダイナミックマイク(ゼンハイザーe935など)には、ヘッド部分の網の内側に最初からスポンジが入っているものが多いため、必須ではありません。
しかし、より繊細なレコーディングを行いたい場合や、マイクとの距離を一定に保つための「目印」として使いたい場合は、ダイナミックマイクであってもポップガードを使用する価値は十分にあります。
100円ショップの自作ポップガードはどうなの?
針金ハンガーとストッキングで自作する人がいますが、私はあまりおすすめしません。
自作品はマイクスタンドへの固定が難しく、録音中にズレたり、見た目が気になって演奏に集中できなかったりすることが多いからです。
既製品でも1,000円程度で購入できるため、最初からしっかりとした製品を買っておくほうが、結果的に長く使えてお得です。
\クリアな音で録音する/
ポップガードを使用する2つの大きなメリット

- コンデンサーマイクを湿気から保護するため
- 息によるノイズ(ポップノイズ)をカットするため
ポップガードを使う2つのメリットについて解説します。
メリット1|コンデンサーマイクを湿気から保護するため
コンデンサーマイクは非常に精密で、湿気に弱いという特性があります。そのため、ポップガードを装着して保護することが推奨されます。
人間の息は温かく、多くの水分を含んでいます。
録音中にマイクへ直接息がかかり続けるリスクを考えれば、ポップガードを物理的な障壁として設置しておくほうが安心です。
メリット2|息によるノイズ(ポップノイズ)をカットするため
歌を歌っていると、フレーズの間などで強く息を吸い込むことがあります。
とくに、高音を出す直前などに大きく息を吸い込む音や、発声時に強く吐き出された息の音がノイズとして録音されてしまうのを、ポップガードは軽減してくれます。
録音後の編集である程度は処理ができますが、最初からきれいに録音できているに越したことはありません。
録音した音声に息の音が混じっていると感じるなら、ポップガードで対策をしましょう。
ダイナミックマイクを使用している場合でも、ポップガードを付けることで録音状態が向上するため、装着をおすすめします。
\マイクの寿命を延ばす/
ポップガードを使用するデメリット

- セッティングするのが面倒
あえてデメリットを挙げるとすれば、セッティングに手間がかかることです。
私の場合、PV(プロモーションビデオ)を撮影する際に、見た目の兼ね合いでマイクスタンドからポップガードを外す作業を面倒に感じたことがありました。
現在はマイクスタンドを2本所有して使いわけるようにして、なるべく手間がかからないよう対策をしています。
まとめ|ポップガードはマイクにも優しい

ポップガードについてまとめます。 メリットとデメリットを比較してみても、ポップガードを使用しない理由は見当たりません。
私自身、長い間ポップガードを使わずに録音していましたが、導入して本当に良かったと感じています。
一般的に言われているメリット以外にも、実際に使ってみて気づいたメリットがありましたので、改めて整理しておきます。
ポップガードを使用するメリット|録音環境の改善を実感
- マイクを湿度から保護し寿命を延ばす
- 吹かれ(不要な息の音)をカットしクリアな音を届ける
- マイクとの距離を一定に保ちやすくなり録音される声の大きさが安定する
強く吐き出される息の音を軽減できることは、レコーディングにおいて大きなメリットです。後の編集作業も格段に楽になります。
また私の場合、歌っている際のマイクとの距離が不安定で、声の音量にムラが出てしまうという悩みがありました。
しかし、ポップガードを設置したことで目印ができ、姿勢を正して一定の距離で歌いやすくなりました。
マイクとの距離が安定しないとお悩みの方には、とくにおすすめしたい活用法です。声の大きさが安定するだけでも、ポップガードを購入する価値は十分にあります。
他の音響機材に比べれば価格も高くありませんので、ボーカルの方はぜひ手に入れておきましょう。
\音を安定させる/

