プロやアマチュアを問わず、YouTubeやSNSで名曲のカバーや「歌ってみた」を投稿することが当たり前の時代になりました。
しかしその一方で、カバー曲に対しては歌の上手下手に関係なく、リスナーの間で賛否両論の激しい意見が飛び交っています。
結論から言うと、私はオリジナル曲を作るクリエイターであっても、曲をカバーすることには大賛成ですし、むしろ積極的に挑戦すべきだと考えています。
なぜなら、プロの完成された楽曲を自ら歌うことで、普段の練習や曲作りだけでは絶対に得られない強力な学びが数多く隠されているからです。
今回は、単なる再生回数の稼ぎ方やアクセスアップのテクニックではなく、あなたが歌い手・クリエイターとしてワンランク上の実力を身につけるために、カバー曲から学べる3つの本質的なことについて解説します。
カバー曲に対する否定的な意見から学ぶクリエイターとしての配慮

具体的なメリットをお話しする前に、まずはカバー曲に向けられる否定的な意見についても整理しておきます。
「原曲を聴きたくて検索したのに、素人のカバー動画ばかりが出てきて迷惑」「カバーをするならカラオケボックスの中だけでやってほしい」など、ネット上にある批判の声の多くは、純粋に原曲を愛しているリスナーから寄せられるものが大半です。
とくに、意図的に原曲と勘違いさせるようなまぎらわしい動画タイトルやアイキャッチ(サムネイル)にしてアクセスを稼ごうとする手法は、リスナーに対して不利益しか与えないため、私は絶対に反対です。
もしあなたがYouTubeなどに自分の歌った音源をアップするのであれば、それが原曲ではなくカバー作品であることが一目で伝わるように、「カバー曲」「歌ってみた」「カラオケ」といった言葉をタイトルに必ず明記する配慮が必要です。
カバー曲というものは、歌い手が原曲に対して深いリスペクトを持っている姿勢が画面越しに伝わって初めて、リスナーにも好意的に受け入れてもらえるようになります。
歌い手がカバー曲を公開することで学べる3つのこと

- 自分で歌ってみて初めて浮き彫りになる「原曲の魅力」
- リスナー視点を超えた「アーティスト本来の魅力」の深まり
- 配信して初めて見えてくる「原曲ファンのリアルな質」
リスナーへの適切な配慮を徹底した上でカバー曲を披露すると、オリジナル曲の制作にも直結する非常に大きな3つの気づきを得ることができます。
1|自分で歌ってみて初めて浮き彫りになる「原曲の魅力」
- 驚くほどの歌いやすさ(声の出しやすさや、心地よいリズムの取り方など)
- 普段は自分が絶対に歌わないようなジャンルの楽曲が持つ独自の魅力
- 楽曲制作の強力なヒント(絶妙な間の取り方、感情の表現方法など)
曲をカバーすることで、ただリスナーとして聴いているだけでは絶対に気づけなかった原曲の本当の素晴らしさに驚かされることになります。
メロディを自分の身体に通して歌うことで、初めて見えてくる音の構造があるからです。
プロが作ったヒット曲には、人々を惹きつけるための緻密な仕掛けがいくつも施されています。
実際に歌ってみることで「なぜこのタイミングでこのメロディになるのか」といった曲作りのノウハウが体感として理解できるようになります。
2|リスナー視点を超えた「アーティスト本来の魅力」の深まり
- 音域の広さやピッチの安定感といった圧倒的な歌唱力
- 表現力の幅(男性が女性の歌を、女性が男性の歌を歌ったときなどに新しい発見が生まれる)
- アーティスト独自の声質が持つ唯一無二の魅力
曲をカバーすることは、その楽曲を歌っているアーティストの真の実力を知ることにもつながります。
自分で実際に歌ってみることで、原曲を歌っているアーティストが高度な技術を駆使しているのかが浮き彫りになり、リスペクトの念がさらに深まります。
自分が完璧に歌いこなせると思っている曲ほど、実際に声を重ねてみると、原曲アーティストの声質の魅力や表現の細かさに気づかされるものです。
好きな曲があるなら、聴くだけでなく一度真剣に歌い込んでみることを強くおすすめします。
3|配信して初めて見えてくる「原曲ファンのリアルな質」
- カバー曲であっても歌い手の挑戦を見守るように応援してくれる、成熟した大人なファン
- アーティスト本人のオリジナルこそが絶対であり、他人のカバーを一切認めない熱狂的なファン
- 原曲へのこだわりはなく、純粋に歌い手の上手下手や個性を基準に評価するファン
原曲やアーティストの魅力については、自分一人で部屋で歌っているだけでも発見することができます。
しかし、「その楽曲を愛しているファンの質」だけは、実際にカバー曲をインターネット上に公開して反応を見てみないことには気づくことができません。
アーティストのブランディング戦略によって、集まっているファンの性質は驚くほど異なります。
どのファンが優れていて、どのファンが悪いという話ではありません。
将来的にあなたがアーティスト側として活動していく上で、「自分はどのようなファン層を獲得し、どんな人たちに囲まれて音楽を届けていきたいのか」を冷静に考えるための極めて重要なヒントになります。
たとえば、オリジナルが絶対という熱狂的なファンに向けてカバーを披露しても受け入れてはもらえませんが、彼らに自作のオリジナル曲が刺さってファンになってくれた場合は、これ以上なく強力な支援者になってくれるはずです。
自分のファン獲得の戦略を練るためにも、各アーティストのファンの質を分析してみましょう。
まとめ|カバー曲を披露するときは「音質」に徹底的にこだわること

- 原曲の魅力(ヒット曲の構造や間の取り方が身につく)
- アーティストの魅力(プロの表現力や歌唱力の高さを体感できる)
- 原曲ファンの質(自分が目指すべきファン層の獲得ヒントが見つかる)
楽曲をカバーして歌うことで得られる3つの学びは、あなたがオリジナル曲を歌うときや制作するときにも、間違いなく大きな武器として役に立ちます。
実は、私自身も元々は完全なオリジナル曲志向であり、他人の曲を歌うことにはあまり興味がありませんでした。
しかし、自宅にプライベートスタジオを構えてから本格的にカバー曲を歌うようになり、「もっと若い頃からカバーに挑戦してプロの技術を吸収していれば、今頃は全く違った深みを持つ歌い手になれていたかもしれない」と感じたほどです。
まずは自分が歌いやすいと感じる曲を選び、そのテンポやキーの高さ、ボーカルの特徴をじっくり観察することから始めてみてください。
そして、最後にひとつだけ大切なアドバイスがあります。
自宅からカバー曲を配信したり公開したりするとき、録音された音質があまりにも悪いと、原曲のファンからそれだけで批判の対象にされやすくなります。
オリジナルを愛している人たちにも純粋に音楽として楽しんでもらうためには、何よりも「マイクの音質」に徹底的にこだわることが大切です。
音源のクオリティを担保するためには、自分の声に合った最適なマイクを選びましょう。
私が宅録や配信でメインとして愛用しているダイナミックマイクは、ゼンハイザーのe935というモデルです。
本格的なレコーディングだけであれば高価なコンデンサーマイクも選択肢に入りますが、宅録環境やカラオケアプリなどを使った配信で、ノイズを抑えて芯のあるクリアな歌声を届けたいのであれば、このダイナミックマイクを選ぶのが間違いなく最強の近道になります。
私がダイナミックマイクe935の音質や使い勝手を徹底的にレビューした記事はこちら→ボーカルマイクを1本だけ買うならゼンハイザーe935


