僕が音楽スタジオでもっとも苦労したのが防音材料を決めることだった。防音材料を選ぶときの注意点を知っておくことで、材料選びがスムーズになる。
材料選びで注意する3つのポイントをしっかりと押さえておこう。
音楽スタジオの防音材料選びで注意する3つのポイント
- 捨てやすい材料を選ぶ
- 防音するための作業工程を決める
- 予算を決める
音楽スタジオを作るときの防音材料を選ぶときに注意するのは3つ。
材料を捨てることになったときの費用を調べておくこと。求めている防音レベルを実現するためにどれぐらい防音したいか決めること。そして、音楽スタジオにかけられる予算を決めること。
音楽スタジオの防音材料は捨てやすい材料を選ぶこと
音楽スタジオの防音材料を選ぶときの1つめのポイントは、捨てるときのことを考えて防音材料を選ぶこと。
音楽スタジオをDIYするなら、できるだけ防音する材料費は抑えたいのが本音だろう。防音効果が十分に発揮できるなら価格は安いもので問題ない。ただし、材料価格が安いだけで飛びつくと、普通ごみで捨てられない材料は、買うときは安くても廃棄が高くつくこともあるので注意しよう。
たとえば、石膏ボードは価格が安いうえに重くて丈夫な材料で遮音効果が高い。ただし、取り扱いには注意が必要だ。音楽スタジオを安価で仕上げるときに候補に入れてしまう石膏ボードは廃棄するときには産業廃棄物扱いになる。つまり、石膏ボードを捨てるときには、産業廃棄物の業者を呼んで捨てることになるのだ。
いらなくなったときに余分な手間やお金がかかることほど残念なことはない。いらなくなったときのことを考えて音楽スタジオを作ることが重要だ。
とくに賃貸住宅の場合、専門業者がいないと廃棄できない材料は避けておく方が無難。防音材料を選ぶときには、普通ごみで捨てることができる材料を選んでおくことを意識してみよう。
音楽スタジオの防音材料は軽減する音のレベルで決めること
音楽スタジオの防音材料を選ぶときの2つめのポイントは、どれぐらい防音するのかを決めて作業内容を決めてしまうこと。
計画通りに作業できるかどうかで音楽スタジオの仕上がりは変わってくるので、計画をしっかり立てることが重要だ。
防音のイメージがわかない人は、実際に音楽スタジオを使うシーンをイメージしてみよう。例えば、ギターを弾く人なら、ギターが弾けるようになったら弾き語りをすることはあるのか、あるいは同じ弦楽器のベースを弾く可能性があるのかなど。
できるだけ具体的に、完成したスタジオを使うイメージができることが重要だ。
具体的なイメージができればできるほど、これから作る音楽スタジオに必要な防音レベルが見えてくる。
うまくイメージがわかない人は、音楽スタジオでやってみたいことを紙に書き出してみよう。音楽スタジオができたらやりたいことを書き出すコツは、『できることを書くよりも、やってみたいことを書き出すこと』。
防音の難易度の目安(音の大きい順)
- 声楽(ボーカル)
- ドラム
- 管楽器
- 弦楽器(アンプ使用時)
- ピアノ
- シアタールーム
音の大きい順の目安は、声楽(ボーカル)>ドラム>管楽器>アンプを使ったときの弦楽器>ピアノ>シアタールームと考えよう。
楽器や熟練度によっても必要な防音内容は変わってくる。あなたが作る音楽スタジオの難易度は、あなたが音楽スタジオでどのようなことがしたいのかで決まる。
参考までに、僕が作った音楽スタジオは、歌を歌うための防音スタジオ。いずれ本気で歌うことを考えると、声楽なみの防音レベルにしておきたいと考えて計画を立てた。
声楽と言えば、ドラムと同等以上の防音レベルが必要になる。十分な防音をするために遮音シートを2層にする構造で計画を立てることにした。
シアタールームやカラオケルーム、ピアノ、ギターなどの楽器演奏の場合は、遮音シート1層、吸音材1層の簡易防音でも問題はないけど、鉄筋の住宅か木造の住宅かによっても防音難易度は変わるのでケースバイケースと考えておこう。
さらに、音楽スタジオが地下か1階か2階以上かによっても防音しないといけないレベルは変わるので注意したい。2階以上の部屋に音楽スタジオを作る場合は、ピアノやドラムのペダルを踏むことによる床からの音漏れにも注意しておくこと。
もし一戸建てなら、2階に作るより1階に音楽スタジオを作る方が防音対策は楽になる。
音楽スタジオの防音材料の購入予算を決める
音楽スタジオの防音材料を選ぶときの3つめのポイントは、防音レベルを決めた段階で予算を決めておくこと。
6~7畳ぐらいの部屋を音楽スタジオにするなら、「1万円で防音室を作る」みたいな無理な計画ではなく、「防音材料は5万以内に抑えたい」という現実的で具体的な目標設定をすることを意識してみよう。
音楽スタジオを作るときに必要な防音材料
- マスキングテープ(なくても可)
- 両面テープ
- 遮音シート
- 吸音材
- ニードルフェルト(なくても可)
音楽スタジオの防音材料のポイントは遮音シートを何枚貼るか
音楽スタジオの防音材料は、遮音シート+吸音材が基本になる。
遮音シートが1層で防音できるなら問題はないが、防音レベルを上げたい場合は遮音シートを2層、3層と重ねていくことになる。3層以上になると、板などの他の材料も必要になってくるので遮音シートを2層にする構造がバランスがいい。
遮音シートを、1層貼るごとに音漏れがどれぐらい軽減されているかを確認してみよう。遮音シートを貼っても音漏れがしているなら、ニードルフェルトで空気の層を作ってから遮音シートの2層目を貼ってみよう。遮音シートを2層貼った後にも音漏れの確認をしておくことが重要だ。
遮音シートを2層貼るときの防音材料の重ね方
防音レベルを高めるために遮音シートを2層にしたい場合は、壁側から遮音シート、ニードルフェルト、遮音シート、吸音材の順番で施工する。
遮音シートを重ねるときにはニードルフェルトで空気の層を作ること
予算が合うのであれば、遮音シートを2層以上にすることをおすすめしたい。
実際に僕の音楽スタジオも、上図の2層構造で作っている。音楽スタジオを作るときに遮音シートを1枚貼ったときとニードルフェルトと遮音シートをもう1枚貼ったときの音漏れをチェックしたら、遮音シート2層構造の方が音漏れはかなり軽減された。
くわしくは作業工程で説明するが、遮音シートを2枚重ねで貼るよりも、間にニードルフェルトを使って空気の層を作ることで遮音シートの防音効果が大きくなる。
防音効果を高めるには、遮音シートと遮音シートの間にニードルフェルトで空気の層を作ることがポイントだ。
遮音シートは重いので2枚目以降は貼る工夫をしよう
遮音シートは重いので、作業を簡素化するためにも2枚目以降を重ねる場合は工夫することも考えておこう。
2層目の遮音シートは、吸音材のサイズ(500mmx500mmあるいは250mmx250mmが多い)に合わせてカットして、吸音材側に貼り付けてから、壁に貼っていく方法がおすすめだ。遮音シートは重いので、工夫をしながら貼ることを考えてみよう。
音楽スタジオの防音材料を選ぶときに注意する3つのポイントまとめ
音楽スタジオの防音材料を選ぶときに注意する3つのポイントをもう一度確認しておこう。
音楽スタジオの防音材料を選ぶときに注意する3つのポイント
- 捨てやすい材料を選ぶ
- 防音するための作業工程を決める
- 予算を決める
音楽スタジオの防音材料の値段を安くするためには、計画をしっかり立てることが重要。吸音材を貼ってしまう前に、音漏れの軽減を確認しながら遮音シートを何層にするかを決めること。
吸音材を貼ってしまってから遮音シートを追加する場合、一度貼った吸音材をすべて剥がすことになる。両面テープを貼ったり剥がしたりすることで吸音材が破けてしまうこともあるので、吸音材だけは何度も貼りなおさないようにしておきたい。
吸音材を貼る両面テープは強力なものを使うので、吸音材は落ちないよう粘着力の強い両面テープで貼り付けるので、普通の両面テープより価格は高くなる。
音楽スタジオを作るときに、両面テープはかなりの量を使う。極力無駄な費用を使わないためにも、最後の吸音材を貼る前に、遮音材をもう1層重ねるかを判断すると覚えておこう。
次回は、僕が音楽スタジオを作るときに採用した遮音シートや吸音材を紹介する。
迷った場合は、僕が採用した防音材料と同じものをそのまま買ってしまうのもいいだろう。実際に使った防音材料の採用の決め手や、比較検討した材料も紹介するのでお楽しみに。